野球に生きた「芸人としての経験」
お笑い芸人・杉浦双亮の挑戦記〈15〉
優勝争いのなかで、僕がチームに貢献できること。それは芸人として得たもの。
◆マウンドに上がるために必要なこと
そのなかでいま僕が戦力となるために必要なことが、技術面では「コントロール」。精神面では前回も少し触れた「優位に立つ」ことだと思っている。
高校時代、僕はいわゆる「ノーコンの速球投手」だった。球が速いだけで、細かいコントロールができずマウンドに上がることができなかった。
それがいまはまったく逆になっている。
ここまでの最高球速は122キロ。
トライアウトの頃に比べれば、少しずつ上がってきてはいるものの、高校時代からすると20キロ近く遅くなっていることになる。その分、コントロールだったり緩急だったりを駆使しながら抑えることを心掛けているのだけれど、このコントロールはまだまだ改善の余地があると思うのだ。
コントロールというのは、技術もそうだけどメンタルとも関係が深いと思っている。
いま打たれてしまうパターンというのは、変化球でストライクが取れないことに起因しているのだけど、そのときの僕の思考はこんな感じだ。
甘い変化球はどうしても打たれやすい。しっかりコースを狙って投げよう。すると、細かいコントロールが身についていないのでボールになってしまう。そしてカウントが悪くなれば、ストレート系のボールを多投せざるを得ない。結果、バッターにはストレート系のボールを狙われて痛打されるか、それが怖くなってフォアボールを出してしまう。
これでは悪循環だ。
そういう意味で、まず変化球でしっかりストライクを取れること。
これができるようになれば、メンタル的にもゆとりが生まれ、バッターに怖気づくこともなくなり、優位に立てるようになる。
歳を経て感じることは、フォームをいじったり、新しい変化球を覚えたりすることは、とっても難しいということだ。トレーナーさんにも言われたのだけれど、そうしたトライは、長い間使っていた筋肉や部位以外のところを使うことになるから、体にものすごい負担がかかり、ケガをしやすいのだという。
そうするとやはりいまできることは「コントロール」と「バッターより優位に立つメンタルを手に入れる」ことに尽きるのかな、と思う。